代表取締役 医学博士 宇都宮 正範
人間の身体に不可欠な栄養素であるビタミンDは、食事だけで必要量を摂取することは難しく、日光を通じて紫外線を浴びることにより体内で生成され、量を補うことができます。ただ、近年の“美白”を求める風潮によって過度に日光を避ける方が増え、比例するようにビタミンD欠乏状態に陥る方が増えています。
そのようななか、さまざまな疾患を予防し、免疫力を高めることにもつながる“日光浴”と同等の効果をもたらすのが、当社が長年普及に取り組んできた「光線療法」。天候に左右されがちな日光浴と同等の効果を人工的に生み出す光線治療器のパイオニアである当社は、光線療法とともに90年以上に及ぶ歴史を刻んでいます。
当社はもともと、創業者であり、私の祖父でもある宇都宮義真が、病弱だった息子の治療に光線治療器を用いた際、身体への負担が少なく高い効果を得られることに感銘を受けたのをきっかけに立ち上げられました。
その後、自社で独自の光線治療器を開発することに成功し、機器に用いる医療用カーボンを揖斐川電気株式会社(現・イビデン株式会社)と共同で開発。パートナー企業として信頼関係を構築し、質の高い生産体制を築きました。いまでは光線治療器メーカーとしてブラッシュアップを重ねた機器をリリースする以外に、自社の機器を使った全身の光線療法を行う施設も東京・目黒の本社に併設。メーカーの枠を超えた活動を行っています。
当社は決して“儲かること”を最優先としたスタンスは取りません。あくまで「光線療法の魅力を正しく届け、人々により健康的な暮らしを提供すること」をミッションとしています。また3代目の代表である私自身、医師として代替医療の重要性を感じていて、光線療法自体に大きな可能性を見出しています。
だからこそ社員たちには、“光線治療器をお買い上げいただいたあと”にもしっかりと目を向け、光線治療器のファンであり続けてもらう努力をしてほしいと伝えています。なぜなら、地道な普及活動を誠実に行ってきたからこそ、90年という歴史を会社が紡ぐことができたと捉えているからです。
今後でいうと、当社の光線治療器を使って光線療法に取り組む治療院を全国的に増やすことが目標。さらに言えば、個々の家庭にも気軽に置ける製品も開発したいですし、この何年かで、ヨーロッパで使える光線治療器の開発をお手伝いし、サナモアカーボンの輸出もスタートさせました。これはポーランドの方から「ぜひ、わたしたちの国でも使えたら」とオファーをいただいたことがきっかけ。さらには在宅事業部門を立ち上げ、これからの超高齢化社会において私たちができることを見つけ、積極的に関わっていくことも視野に入れています。いままさにあらゆる可能性が広がっているのです。
とはいえ、闇雲な事業拡大に舵を切るつもりもありません。足元をしっかりと見つめ、正しい形で光線療法が伝わるよう、地道に取り組む方針です。
なお、私自身としては光線療法普及の先頭に立つべく、全国各地をめぐって光線療法に関する講演会などを行っています。紫外線の有益な側面を見ないで、日光を過度に嫌わないでほしいということ。日光浴であったり、光線療法を受けたりすることは「生命の根源」にもつながっていること。これらをもっと多くの人に伝えたいですし、派手さはないですが、草の根の活動を継続することが使命であると考えています。
また、すでに光線療法を選択してくださっている治療師や患者さまには「感謝の気持ち」でいっぱいです。みなさまと魅力を分かち合いながら、当社はこれからも誠実に歩みつづけてまいります。